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? 合成開口レーダー(2)

航空機や人工衛星から地表面の映像を得ようとすると可視域や赤外域のセンサーが有効であるが、雲があると遮られて地表面が見えない。電波を利用すると雲を透過して地表面を見ることはできるが通常の送受信アンテナではビーム幅が広すぎて、実用的解像度で地表面の映像を得ることは難しい。合成開口レーダー(SAR:Synthetic Aperture Radar)はこの電波センサーの欠点を克服して高い解像度で地表面映像を得るように開発されたレーダーである。

 

図1.1.4−2 (磯崎一郎、波浪概論、(財)日本気象協会より)

 

SARは図1.1.4−2に示すように航空機や人工衛星の進行方向に対し直角に、斜め方向に扇形ビームの電波を発射し、飛翔体の進行に伴って幅Wの帯状の面積について映像を得る。この映像内で距離方向についてはパルス圧縮技術を用いて解像度を高める。方位方向については比較的短いアンテナを用いて、反射エコーの位相ならびに振幅を重ね合せて、等価的にアンテナの長さを進行方向に長くするような、信号処理によるアレイ・アンテナの原理によって解像度を高める。すなわち、図1.1.4−3で飛翔体が左から右へ進む時、測定対象物Xは飛翔体が1の位置に来た時初めてアンテナビームに入り、2を経て3でアンテナビームから出る。これは飛翔体の経路上の1から3までの間に展開されたアレイ・アンテナの各素子が送信する信号を受信したことになり、これを合成すると実効的に1から3迄の距離Lで構成されるアレイ・アンテナでXを見るのと同等になり解像度が著しく高まる。

 

 

 

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